チェロ様に響いていただく

日々の気づき

ヴァイオリニスト千住真理子さんの誠実み

先日、ヴァイオリニスト千住真理子さん(千住兄弟)の特集をテレビ番組で拝見しました。テレビ朝日系「プラチナファミリー 3時間スペシャル」 です。

<TV情報>7/1 テレビ朝日系「プラチナファミリー 3時間スペシャル」 – 千住真理子

バライティ番組では面白おかしく取り上げられている千住さんの行動ですが、私にとっては本当に背筋が伸びる思い。素敵な特集ですので是非見逃し配信TVerとかでご視聴ください。

なんか番組最後の宣伝みたい笑

千住さんの「人生の全てをヴァイオリンに捧げる」という意思に心を打たれます。

  • 自宅がヴァイオリンのために徹底している
    • 厳重な警備をマンションに施している
    • 練習部屋の湿度をかなり低く設定し一定に保っている
  • 歩く意義が感じられないから常に走っている
    • 移動時間が勿体ない
    • ヴァイオリンの持ち運びの時間が少しでも短い方がヴァイオリンに優しい
  • パーソナルジムのトレーニングでもヴァイオリンを弾きながら行う
    • ヴァイオリン演奏に必要な筋肉を鍛える
  • 飲食店での食事は提供が早いところに限る
    • 筋肉に良い気がするからステーキが好き
    • 鉄板焼きがすぐに提供してくれるから
    • 待たされる飲食店では後悔してしまう
    • 家では出来上がった料理をその場で立って食べている
  • 料理の時間がもったいないのとパワーが出るから生卵をコップに入れてそのまま飲んでいる
  • コンサート本番直前にカロリー摂取のためはちみつを直接口に流し込んで飲む
  • ヴァイオリニストのような綺麗な恰好をしていると狙われるから普段目立たないようにほとんどジャージ

ほんともう、振り切っていますね。傍から見ると不思議な人に映るかもしれませんが、「人生の全てをヴァイオリンに捧げる」という理由を知ると素敵だと思いますし本当に尊敬します。

伝説のストラディバリウスが巡り巡って千住さんの手元にた時に「この楽器に対して以下に誠実に生きていくか」とおっしゃっていました。

果たして私は自分の仕事に対し、これほど誠意をもって真摯に向き合っているだろうかと自問しました。背筋が伸びました。良い番組をありがとうございます。

踏まえて自分への課題を見直す

もちろんプロでも何でもない私ですが、チェロの演奏に対してより誠実に生きていきたいです。

なもんで、近々の課題を付箋に書き起こし、練習用の姿見に貼り付けてみました。

自分の演奏姿勢をチェックするための鏡を見るたびに目に入るようにしました。おすすめ。

うなじをゆるめる

ヴィブラートをかけるときに、首や肩や腕に力が入っていることに気が付きました。

これは村上曜さんの著書にも大変分かりやすく書かれており、私には本当にぴったりの指摘でした。

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チェロを初めて1ヶ月頃に先生から開放弦を弾くにも「肩や手や腕に力を抜く」ように教えられていました。

もしかすると、先生から「力抜いて~」って幼少期からレッスンを受けておられる人たちは、当たり前のように呼吸をするようにすんなり出来るようになっているのかもしれません。

しかし大人になってから楽器を始められるかたはお分かりになるかと思いますが「力を抜くってどうやるの?」なのです。

力を抜く、のは知識としてはあり、常に腕や肩や手の力を抜きたいと思っているのです。わかっているけど、それがなかなか出来ないのです~。

しかし「うなじをゆるめる」という感覚を意識と、私の場合はうなじから手の先まで何となく力が抜けているようなのです。

私生活で首の怪我をしてからというもの、頭、首、肩、腕の位置に意識が向くようになりました。不幸中の幸い。文字通り、怪我の功名ではあります。数日前から怪我から復帰して練習を開始し、うなじゆるめを意識してから以前よりも演奏が楽にできるように思えます。これは効果ありです!嬉しいです。

肩をおとす ストンと

肩が上がって力が入ってしまうことがあります。

難しいフレーズや速いパッセージを弾こうと思うと、右も左も肩や腕に力が入ってしまいます。

お笑い芸人チョコレートプラネットのコントの りきみりき の様に無駄過ぎる力が入ってしまします汗

肩が上がってしまう対策として、チェリストのネロさんの素晴らしいご指摘のYoutubeを張っておきます。

うなじをゆるめることに通じますが、弾いている時にうなじの筋肉を緩めると同時に肩をストンと落とすとすごく楽になる感じが私はしました。

ちなみに、緊張して仕事中でも肩が上がっていることがあり、トイレに行くと、あ、今肩上がってたなって気づくことがあります。日頃から りきみりき なんだと悲しくなりますが、まずは気づきが大事です。

呼吸をし続ける

うなじをゆるめて肩を落としますと、おのずと呼吸がしやすくなります。

レガートで長いフレーズやフォルテを弾いていると、いつの間にか呼吸が止まってしまっていることに気が付きます。

まずは気が付いた私自身を褒めてあげたいところです。

演奏中に息を止めてはならない!というパブロ・カザルス氏の痛快なレッスンのYoutube映像がありました。

カザルスが生徒に「あなたは息をしないと〇にます」と言っています。ハッとしますね。もちろん生徒も観客もカザルスも笑っています。素敵な先生。

興味深いのは、お手本でカザルスは、フレーズの合間に息を 吸う のではなく 吐いている ように見えます。弾いている最中に息を吸って、フレーズの隙間で一気に息を吐いている?もちろん時と場合に寄りますが、細かいところも生前の映像が大変参考になります。

Youtubeにアップいただきありがとうございます。

さて呼吸は本当に気を付けたいです。水泳のように息継ぎのために顔を水面から出す必要のない、陸上でのチェロ演奏なのにいつの間にか息を止めてしまっていたなんて。

初老の私にとっては息を止めることは血圧があがるし、健康に良くない。というか全人類にとってそうか。

チェロの音楽的な演奏のために、息を止めて力んで健康を害するようなことをする必要はないし、してはいけないということです。

呼吸をし続ける。演奏中でも大切なこと。

チェロ様に響いていただく

実は数ヶ月前(怪我をする前)までは、演奏時の気を付けるリストとして「常に良い音を鳴らす」と付箋に書いていました。

がしかし、こんなへたっぴな私がですよ、チェロを綺麗な音を鳴らす(俺様視点)なんてのは慢心で、恐れ多いのではないかと感じ始めました。

長い音楽史の数々の名だたるチェリストが練習において、俺様視点のベクトルの気持ちでは弾いていないと思ったのです。

なんというか・・モテたいためにチェロを演奏してはいないだろう、という感じ?です。

多分、音楽の神髄に近づきたい気持ちや、音を楽しみたいという純粋な気持ちだと思います。

プロの演奏家が聴衆にたいして「素敵な音を鳴らす俺の演奏を聴け」という心持ちではなく、音楽で心地よい時間を過ごしてほしいとか、壮大な話だと世界平和を願ってたりするのではないか、と思うのです。大袈裟ではありますが。

いや、これも思い違いかもしれないのですが、そうだと仮定して、踏まえまして、じゃあ自分が練習をどんな気持ちのベクトルで臨むのか?

私はチェロに対して、かき鳴らして音を発生させる装置のような扱いをしていないかどうか?

演奏中に注意することは、まずは力まない、肩を落とす、息を止めないという物理的な姿勢を意識することを前提として、音楽に対する心理的な姿勢も注意すべきだと思いました。

話は飛びますが、私の妻の話です。妻は職人気質で勘が鋭く、私なんかよりも直観力がよっぽど優れており、0歳の頃から猫と一緒に育ってきて野性味がありつつ繊細なタイプの人間です。マジ。

以前、そんな妻から指摘されました。サイレントチェロをリビングで演奏している私に対して「あのさ、ん~、なんか昔から音楽かじってる人って自分は弾けるよって自慢してるかんじ?曲を先に先にってどんどん弾こうとするよね。なんか急いでるかんじ?ダサいよね

ガーーーン。笑

私の演奏から斜に構えている内面の姿勢を感じ取り、見透かされている気になりました。サイレントチェロでさえよく鳴ってないまま弾いていんだと思われます。「そ、そんなことないよ」と言うことしかできませんでした。ショックですが、まぁそんな妻を尊敬しているわけなのですがね。

なのであえて、「チェロ様」とメモして、チェロ筐体が弦の振動を増幅して勝手に響いてくれるよう、私こそが装置側になるべきだと心がけようと思い、付箋メモとしては 良い音を鳴らす → 響いていただく に変更しました。

私がすべきことは出来る限り誠実に丁寧に弾いてチェロ様に響いていただくことなのではないか、ということです。

プロのチューバ奏者とコントラバス奏者のかたももおっしゃっておられます。対談のYoutubeが挙がっていました。

ポケットに手を突っ込んでリラックスしているくらいで演奏すべし。素敵。

マッチョよりもファット。素敵。

しかしながらですよ、楽器様を信じてなってもらう気持ちでいつつ、音楽的に表現したいこと自体は私の人生から発信して奏でるわけですよね。いやぁ・・難しい。だからこそ楽しい。

最後に力みなくチェロ様が響いておられるチェリストのCamden Shaw氏の演奏(インスタグラム動画)のリンクを貼っておきます。こんなふうに弾けるようになりたいです。

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