モンタニャーナ型とはチェロのボディ形状の一種です。
幅広の形状のチェロで、一般的なストラド型と比較される形です。
ストラド型は世界一有名なヴァイオリン職人のストラディバリの作ったヴァイオリンの形状がストラド型などと言われます。モンタニャーナに比べればほっそりとしていますが、いわゆるヴァイオリンやチェロの形を想像したときの形です。
楽器店での流通やネット等で見るチェロの100本のウチ1本くらいの割合でしかモンタニャーナ型のチェロを見探せません。
大変に貴重なチェロのためなかなか使用している人は見られません。モンタニャーナ型チェロを愛用している有名なチェリストとしてはあのヨーヨー・マさんや堤剛さんです。

モンタニャーナの名称も名匠の名前から付けられた
モンタニャーナの名前の由来はドメニコ・モンタニャーナ(Domenico Montagnana)というイタリアの楽器職人の名前から付けられました。
ウィキペディアによるとドメニコ・モンタニャーナさんは1686年6月24日から1750年3月6日の生涯でチェロを含めヴァイオリン、弦楽器の名器をたくさん製作しました。
モンタニャーナチェロのサイズ感
ストラド型に比べててふくよかな印象のモンタニャーナ型は幅広です。
国内の有名ヴァイオリン工房の一つの株式会社ビオリーノ(文京楽器製造さん)の製作する「ピグマリウス」のチェロ、ルビーノのモンタニャーナ型のチェロ(古め)のサイズを測ってみました。

素人計測なのでざっくりですが以下のようなサイズ感です。

※ちなみにピグマリウスの工房では型紙があるはずですので実際はちょっと違うよ、と言われるかもしれません。
- アッパーバウツ:360mm
- 上部コーナー:366mm
- ミドルバウツ:260mm
- 下部コーナー:406mm
- ロウワーバウツ:446mm
これだけ見るとストラド型とどのくらいの違いなのか分かりにくいですが、実は全然違います。
ちなみに我が家にあったメジャーで採寸しました。
素人の測り方なので、正確ではないかもしれませんが同じ採寸方法で、私の手元にあるストラド型のサイズ感も確認してみます。
- アッパーバウツ:345mm
- 上部コーナー:330mm
- ミドルバウツ:230mm
- 下部コーナー:384mm
- ロウワーバウツ:435mm
基本的にはストラドもモンタニャーナも弦長(縦の長さ)は変わりませんが、横幅がこれだけ違います。
共鳴する筐体の大きさが異なるということは低音の鳴り方に影響がありそうですよね。
モンタニャーナ型チェロの音質
見た目と同じく、音質もふくよかになります。
ピグマリウス・ルビーノという同じランクのストラド型とモンタニャーナ型とで比較してみました。
筐体の形の違いにより、同メーカーの同クラスでも音質に違いがありました。

さすがピグマリウス・ルビーノなので、どちらも素敵な音です。素敵すぎます。最高。
左が2006年製350Sで、右が2003年製350Mです。テールピースはどちらにもWeidler製AKUSTICUSが使われていました。ピグマリウスのスチューデントクラス(ルビーノは販売当時ではスチューデントクラスで最高クラス)ではAKUSTICUSを採用していたのですね。現行モデルでは異なるようです。
ストラドの方が芯が強い感じ、モンタニャーナの方は高音域もふっくらして包容力がある感じ。
個人的にはモンタニャーナのほうが好きかもです。ソリストにはやっぱりストラドのほうがいいのかな、とも感じました。コンバスが居ない室内楽とかだと、モンタニャーナの方が音域が広がって良さそう。
モンタニャーナ型チェロを収納出来るケースが余り無い
モンタニャーナのチェロ、素敵です。
唯一欠点としては、モンタニャーナ型チェロの形状はストラド型に比べて大きく、スタイリッシュなハードケースだと収納できません。
例えば有名なチェロケース BAM Hightech “Shamrock” には全く入りませんでした。
モンタニャーナ型チェロを GEWA製のハードケース(Gewa IDEA X-LITE)だとギリギリ収納できたので、「やった!これでレッスンに通える!」と意気揚々とレッスンに持ち運びしていたところ、コーナー部分が擦れて、欠けて破損した苦い記憶があります。

修理してもらうため、速攻、職人さん行きでした汗
ショック過ぎて、破損したときの写真を撮るのを忘れ、職人さんに撮影してもらった修理中と修理後の写真しかないのですが、こんな↓感じ。

この上部コーナーのでっぱり部分がポロっと取れてしまったのです。
コーナーは特に、ストラドとのサイズが違い過ぎるのでそういうことが起きます。ギリギリ入ってしまう、GEWA IDEA X-LITE には要注意です。むしろギリギリ入らないでほしかった。そうすれば使うこともなかったわけですし。
ソフトケースであれば膨らみ具合にある程度余裕があるため収納できました。例えば東洋楽器のソフトケースには収納出来ましたが、ソフトケースは駒がどこかにぶつかるとズレてしまうのではないか?とか、満員電車での持ち運び等でもそもそも不安がありますね。
同じ東洋楽器のプリュームファイバーにはモンタニャーナ型チェロを収納することができました。
ハードケースでベストサイズなのはCarbonMacから発売されているCFC-5ラージサイズというモデルです。

なかなかケースの選択肢がないモンタニャーナ型チェロは、ちゃんと楽器店にチェロを持参して、店員さんと自分のチェロが格納でき安全に持ち運びができるものを入念に確認して買うべきですね。
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