楽器OKのファミリータイプのSRCマンションにお住まいだとしても、しっかりとした防音室ではない限り、ただの日本のマンションの部屋でのチェロ演奏には気が引けます。
幼少期にピアノを習っていましたが、なぜ子供のころはピアノをフォルテッシモで弾いても近所迷惑を気にしなかったのか。今となっては謎。
さらには、主旋律・メロディーを奏でるヴァイオリンやビオラに比べてチェロは、より低い音が出る楽器ですが、チェロの音域的に低音が近隣に響きやすいという懸念があります。
主旋律を奏でるタイプの楽器の、合奏では耳に届きやすい高音域よりも、実は隣の部屋ではチェロ(コントラバスは特に)の低音域の方が格段に響いて聞こえてきてしまいます。
チェロの低音域への防音対策を考える
前回の記事では「密閉」と「重さ」が効果的ということを記載しました。
防音対策メモ
- チェロのエンドピン接点を防振対策で床への振動の伝達を防止
- 浮き構造(浮き床・浮き壁)で外部との物理的な接点を減らし振動の伝達を防止
- 重い遮音材による質量による遮音
- 軽めの吸音材による壁や天井で跳ね返る高音域の吸音
- ドア・窓の2重にし外部との隔たりを増やすか空気の密閉による防音
理系男子としては、これらの対策がパッと思いつくところ。
芸術系の妻としては「上手な人が弾いてくれるなら別にうるさくない」だそう。
つまり、、そういうこと。
この低音域の騒音問題は、天井や壁や床に音が響くことにより、近隣の人の耳にまで物体の振動として伝わってしまうことが大きな要因です。
そのためには振動を遮断するための「重さ」による防音対策が効果的です。
建築段階であれば、防音室の壁(内装の壁を含め)にグラスウールもあるいは建物全体の壁面内をグラスウールを敷き詰めることで吸音、遮音の効果が高まります。
しかし賃貸も含めマンション世帯の場合や建て売り戸建てや中古戸建てに関しては現実的(気軽な)対策方法ではありません。
リフォームに頼らない気軽で効果的な防音対策を考えていきたいです。
既に実施している対策
我が家のチェロ練習部屋の防音対策としては、何もしていないわけではありません。既に気軽にできることはしています。
- 対策 1 : 壁にウレタンフォームの吸音材を貼る
- 対策 2 : 床にジムマットを敷く
- 対策 3 : 扉に隙間テープを貼る(ただし換気を徹底)
- 対策 4 : 防音カーテンを付ける
- 対策 5 : チェロの駒にミュートを取り付ける
- 対策 6 : チェロのfホールを塞ぐ(非推奨)
対策5,6はチェロ自体の音を小さくするタイプの方法で防音対策としては効果的です。特に対策6は防音効果が著しく高いですが、チェロの駒のズレや故障の原因になり得ますし、そもそも「音を出す」という楽器の趣旨と逆行しており腕前を磨くのには適していないと思われます。
できればチェロ自体には何も施さずに部屋の環境を工夫して防音対策する方針でいきます。
まず対策 1 の壁に吸音材を貼る対策ですが、もし賃貸マンションだと「貼る」系や「穴あけ」系は気が引けますよね。私の環境も吸音材を貼っていません。ピンの指跡が目立たないフックが売られているので、まずそのフックを壁に取り付け、フックに吸音材を引っ掛けて固定しています。
防音カーテンは外からの音も遮断
窓の隙間は音漏れや外部からの音の侵入の原因です。
もちろん、賃貸じゃなければ2重サッシなどはすごく有効。
さらにカーテンをつけていると防音効果に多少違いがあります。
布生地は高音域に対して大きな効果があるようです。
振動を防ぎたい音域を調べる
チェロの一番低い音はC線(4弦)の開放弦のC2という音名で、周波数は約65.4ヘルツです。
A線(1弦)の開放弦は約221ヘルツです。
下の階によく響いてくるのは低音域なので200ヘルツ以下あたりに効果の高い防音対策をしたいところです。
低音域を防音するには「重さ」による防音が正義です。フワフワのウレタン吸音材は意味を成しません。
重量による防音対策
サンダムシートと呼ばれる乗用車のデッドニング用材料や建設現場でも空調機器類の振動音遮蔽や防音に多用されている遮音材です。シート内部に金属粉が充填されており、それなりに重いです。柔軟性があり薄いのでハサミで簡単に裁断・加工できます。
サンダムシートは遮音材であり、吸音性能は殆どありません。高周波(高い音)は跳ね返るイメージです。吸音材と組み合わせることで遮音・吸音効果を得られ防音室の外部への音の漏れと侵入を防ぎます。
何度も言いますが ウレタンフォーム等の吸音材では遮音は出来ません。
たしかにフワフワの吸音材は、反響防止にはなりますので、チェロの音が壁から跳ね返って自分の耳に届く音が少なくなります。しかしながらその効果は中音域から高音域に限ります。
巷で安価な「遮音シート」や「防音シート」と名乗る商品の謳い文句のメリットとして「軽さ」と「吸収性」と記載がある商品は怪しく、誠実さを感じません。
理系男子としては、遮音材の商品説明としてちゃんと 透過損失(Transmission Loss)のグラフを掲載しているようなものを選択したいです。そういう商品に対しては誠実さを感じます。
製品によっては「周波数別遮音性能」が公開されているので、100Hzから200Hz付近で20dB以上の遮音性能があるものを選ぶと効果的そうです。
さらには
- 遮音材だけでなく制振材の併用が重要
- 空気伝播音+構造伝播音の両方を抑える必要があり
- 床・壁・天井の三方向からの対策が効果的
つまり密閉された魔法瓶のような防音室だよね、ってこと。
そこまではできないので・・
壁に張るタイプの防音対策で効果が高そうな商品をピックアップ
100Hz以下に効果がありそうな製品
デュラカーム® HTL(日本環境アメニティ)
- 遮音性能(透過損失):
- 125Hz:32dB
- 250Hz:38dB
- 500Hz:45dB
- 吸音率:
- 125Hz:0.33
- 250Hz:0.48
- 構造:付加質量膜+撥水性グラスウール(32kg/m³、25mm・50mm厚)
- 特徴:
- コンクリート壁(120mm厚)と同等の遮音性能
- 重量は約45kg/m²と軽量
- 不燃性・耐候性あり
カルムーンシート(セキスイ)
- タイプ:制振遮音材(貼り付け型)
- 特徴:
- 振動を熱に変換することで遮音
- 特に金属や樹脂面の低周波振動に効果的
- 薄くても高い制振性能
- 用途:壁・床・機器の筐体など

防音マットZS(遮音ゴムマット)
- 構造:高密度ゴム素材
- 特徴:
- 厚さ20mmのタイプは床の低周波対策に特化
- 防振効果も高く、チェロの振動伝播を抑制
- 用途:床下に敷くことで振動音を吸収

200Hzあたりに効果がありそうな製品
3M™ Flexile 防音材 FAB/SF シリーズ
- 対応周波数帯:200Hzから高い防音性能を発揮
- 構造:複層構造(3M FABシリーズ+シンサレートSFシリーズ)
- 製品例:
- FAB0310/SF200L(薄型)
- FAB0910/SF400L(低周波に特化)
- 特徴:
- 穴や隙間があっても性能低下が少ない
- 内装・外装どちらにも使用可能
- 用途例:壁、床、天井、車両の内装など
DIY施工も可能ですが、性能を最大限に発揮するには隙間対策が重要です。
静科「一人静 タイプA」
- 対応周波数帯:500Hz以上で吸音率ほぼ100%
- 200Hz付近の性能:やや劣るが、厚みを増すことで対応可能
- 125Hz付近で40%の吸音率。250Hz以上は80%以上。
- 特徴:
- 吸音率・透過損失のグラフを公開
- 第三者機関による測定あり
- 天井・壁・床材として使用可能

まとめ
徹底的に防音対策するなら引っ越した方がいいかもね。
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